パシフィックファイターズ COOPミッション AAR(アフターアクションレポート)
「タラワ戦記」

環 境   : PF 3.04
作 者   : sora9rm
参加者   : Sora, Fitz, hidekichi, kuma112, Tora, Rowhei(順不同、敬称略)
プレー日時: 2005年6月4日(土曜日)21:00〜23:00 約2時間

あの日、南太平洋の空と海はどこまでも青かった。いや青などという単純な言葉では表現しきれない。
極限の紺碧だった。
時は昭和○○年の五月も終わりに近く、本土ではもう初夏の訪れの兆しがあるころ、太平洋戦線の
風雲は急を告げていた。
この空に皇国の御盾(みたて)となりその身命を賭して戦いそして散っていった若者たちがいたのを
ご存知だろうか。
あれから○十年、タラワ航空隊の生き残りである私にも人生の終焉を迎える時が近づいている。
たった一人生きながらえた隊員として、あの極限の紺碧に命を散らした戦友の活躍を
ここに記しておきたい。

第一幕 昭和○○年5月29日

「30分で目的地だ。あと少しだが気を抜くな。編隊を維持したまま高度を下げる」
祖羅隊長の声が無線で伝えられる。 本土から機体の搬送を兼ね着任する1022航空隊は、ゆるく
編隊を維持したまま、水平線のかなたにボゥーと浮かび上がる島影めざして高度を下げだした。
祖羅中尉の左後ろには飛行学校を出たばかりの朗瓶一飛曹が、親鳥に付き従うヒヨコのように編隊
を組んでいる。
南方前線には敵連合艦隊が遊弋し、このタラワ戦域にも敵の偵察機が飛来して来るという。

「10時方向機影が見えます」「どうやら友軍の物では無いらしいな」
遠くの空に高くポツン、ポツンと黒いシミのような物が見える。 
カタリナ飛行艇とF4Fグラマン戦闘機だ。偵察とその護衛と思われる。
不壱少尉と秀吉少尉はスルスルと編隊を抜け出すと矢のように、黒い2点に向かって翼をめぐらしていく。
朗瓶一飛曹も慌てて続こうとすると、それを押しとどめる祖羅隊長からの声が届いた
「止せ止せ、あいつらに任せておけばいい」
案の定不壱少尉と秀吉少尉達は、あっけなくカタリナ飛行艇とF4Fグラマン戦闘機を平らげると、
何事も無かった様に編隊に戻った。

それから30分後、編隊は南太平洋の守りの要所であるタラワ飛行場に着陸していった。
基地の全員の出迎えを受ける。
もっとも彼らの心待ちにしていたものは、我々の編隊であると共に、機体の隙間にぎっしりと詰め込んできた
内地からの手紙や慰問袋であったのだが。

「1022航空隊着任します」「ご苦労!しかし着任早々着陸前にお手柄だったな祖羅大尉。
これでは先任の守備隊の面目が無いな、今日はゆっくり静養し明日からは十二分に働いてくれ」
基地司令らも笑顔で迎える。
「ここには海軍機だけでなく陸軍機も置いてあるとの事なので『大東亜決戦機』を試して
みる絶好の機会だと思っております」・・・そう、ここには陸軍の疾風も配備されていた
のだった(?!)

第二幕 昭和○○年5月30日

「敵機接近! 戦闘機隊出撃せよ!」

明けて二日目、早速敵の歓迎だろうかタラワ基地は敵機の来襲を受ける。
零戦21型を先頭に52型、疾風が爆音を上げて上昇していく。
敵はグラマンF6Fの5〜6機からなる示威偵察らしい。
ぐんぐんと高度をとり反転して敵に向かう。
すれ違いざまの弾幕をかわすと、零戦の運動性を活かしてウイングオーバーから一転後ろに喰らいつく。
F6Fは零戦を研究しつくした機体であり、その重厚な防御装備の重い機体を大馬力のエンジンで振り回す。
よっていくら銃弾を叩き込んでも、ちょっとやそっとでは墜ちない。
弾数の少ない20mmは「決め」の時にとっておく。
一機のF6Fの後方に回りこめた。 敵は左右にもがいて逃れようとするが、運動性能の勝る零戦は
振り切られない。
照準機いっぱいに敵機が広がる。
「まだ、まだ」振り向く敵のパイロットの怯えた顔が見える
「まだ、まだ」敵のパイトッロは更に左右にロールをして活路を探している。
敵パイロットがまた振り向いた。ゴーグルごしに敵の白目が見える。もう自機のプロペラが敵機の尾翼を
食いちぎりそうだ。
「今だっ!」20mm機関砲の銃把を引き絞り、F6Fに銃弾を叩き込む。
バァーっとエンジンから炎が上がり2〜3回ロールした後、海上向けて逆さまに堕ちていった。
これが朗瓶一飛曹の初撃墜であった。その後、戦意を喪失して逃げ惑う2機を撃墜し初陣
ながら300点で無事基地に戻った。
他の隊員も数々の殊勲を揚げ洋々と着陸してくる。
大戦果に対しその晩基地司令から「ビール1ケース」を褒章として拝受した。

第三幕 昭和○○年5月31日

熊少尉が2日遅れでタラワに着任した。着任が我々より遅くなったのは、お偉方の乗る零式輸送機の
パイロットの任務で横須賀まで往復したのだ。実は熊少尉は新婚であり、たとえ1日でも内地に帰して
やりたいという祖羅隊長の粋な計らいでもあったのだ。
しかし、戦局は待ってくれない。日増しに敵連合軍の威力偵察の回数は増し、我々は連日の様に出撃
を余儀なくされる。
朗瓶一飛曹は、この日F6F2機撃墜を記録した。

第四幕 昭和○○年6月1日

風雲は急を告げる。友軍の偵察機からの報告によれば、敵機動部隊がすぐそこまで迫っているとの事だ。
明らかにこのタラワ基地が狙われている。
「敵影接近、攻撃機を伴っている!繰り返す敵は攻撃機を伴っている!」
基地に空襲警報が鳴り響き、各員はそれぞれの部署に駆けつけていく。
「まわせぇ〜!」「コンタークト!」 我先に戦闘機隊が離陸していく。 
もう友軍の防衛隊が反撃を始め、青い空にポツポツと対空砲火の煙が見える。
それに怖じず敵ドーントレス急降下爆撃機隊は一糸乱れず攻撃態勢に入っていた。
それにかぶさる零戦隊。大空中戦が展開された。
敵の後部銃座手が応戦する。 アイスキャンディのような様々な色の糸を引いて、曳航弾が飛び交う。
我軍の防衛網を辛くも突破したドーントレスが基地に攻撃を加えている。格納庫付近に火の手が上がった。

「くそっ」上空から一気に急降下で差を詰めた朗瓶一飛曹だが、引き起こしが遅れ、零戦
のプロペラが海面をたたき、機体を着水させてしまった。
物量にものを言わせた連合軍の攻撃は熾烈を極めた。熊少尉も数機を墜としたが、自らもエンジンと
燃料タンクに敵弾を喰らい、喘ぎながらF6Fを追い詰めたものの海面着水を余儀なくされた。

その間にも友軍戦闘機隊は八面六臂の活躍を見せる。
「単なる習熟飛行さ」と陸軍機『疾風』に乗り込んだ祖羅中尉は、早くも陸軍機の機体特性を会得し、
軽快に敵機を追い詰める。
特にその30mmマウザー砲の威力はすさまじい。
多少の被弾にびくともしないとタカをくくっていた6Fのパイロット達は明らかに動揺しだした。
F6Fは操縦席を防御壁で囲まれ、エンジン、燃料タンク共に二重三重の防火装置で守られて安全である
はずであり、それまでの経験上一発でもあたれば火達磨になるのは零戦であった。
それが今日はどうだろう。一発で吹き飛んでいるのは味方のF6Fの方なのだ!
そうなると重い機体は愚鈍な棺おけでしかない。
燃料が霧になって漏れるぐらいでは済まされない。
文字通りに「瞬殺」されてしまうのだ。
黒煙を噴いて堕ちるのではない。花火の様に空中で四散するのだ。
「シュドーン」独特の響きと共に繰り出される砲弾・・・いやロケット弾と言った方
がふさわしいだろう・・・は次々にF6Fを葬っていく。

そのころ危険が去った地上基地では、防空壕から這い出した整備員や地上勤務員が、上空で繰り広げ
られる友軍の活躍に大歓声を上げていた。
「行け!行け!追い詰めろー」
それまで爆弾と機銃掃射でさんざん痛めつけられてきた腹いせか、ぐるぐる腕を振り回したり、拳骨を
突き上げている兵もいる。
「やぁ祖羅中尉は強いぞ!」「またグラマンが堕ちた」「不壱少尉、秀吉少尉、熊少尉もやるなぁ」
「あと何機墜とすんだ、いったい」
大変な騒ぎだ。
「おい、あと2機にタバコ1本賭けるぞ」「いやまだまだ、おれは3機に2本」「その話乗った」不謹慎にも
敵機の撃墜数に賭けがはじまり、基地司令に窘められる一幕もあった。

第五幕 昭和○○年6月2日

連日の空襲が懸念され、13番機が上空で警戒にあたっていたが、その裏をかいて昨日にも勝る
数の敵がタラワを襲った。
如何に我が軍の戦闘機とパイロットが優秀であろうとも数に勝る連合軍には抗しがたい。
「兵有奇変、不在衆寡」と言えども消耗戦に持ち込まれた我が軍は、ひたひたと迫る決戦の時を
迎えていた。
出撃の度に櫛の歯を引くように、熟練パイロットと機体が失われていく。
朗瓶一飛曹はF6F1機撃墜。

第六幕 昭和○○年6月3日

増援として寅少尉が着任する。

我々が到着したときは威風堂々としていたこの基地も一変して瓦礫の山となってしまった。
滑走路のあちこちに昨日の空襲で破壊された機体がまだ黒い煙を上げている。
今日も最後に残された渾身の力を振り絞って迎撃にあがる。
我々に下された命令はしごく単純明快だった。たった一言・・・「タラワ死守」である。
離陸出来た友軍の数は来襲した敵機の数の十分の一でしかない。

高度をとりつつ8時の方向に旋廻する。遠く白い雲間から、一面にぶちまけたゴマ粒の様に
敵機の姿が見える。そのゴマ粒は、次第に数を増し頭から覆いかぶさってきた。
「チャンスヴォートF4Uコルセア!」
ついに見敵した! 直径4メートルに及ぶHS定速3翅のプロペラをR-2800-8Wで振り回す
その異様な逆ガルの姿を!
雲の影から死角をついて接近する。しめた また敵のパイロットは気づいていない。
十分に後方を注意し更に間合いをつめる。
この一機を墜としても、戦局が大きく変わるわけでもない。だが、この敵を墜とさねば、
確実に戦線は後退する。
20mm機関砲の手ごたえ十分に、コルセアは火達磨になって墜ちていった。

朗兵一飛曹は次の敵機を探すために、半ロールに入り逆しまに後方を見た。自機の下を
ややオーバーシュート気味に機体がすり抜けていく。このまま背面のまま操縦桿を引けば
ずばり射線に捕らえられる。 
しかし、銃把を引く寸前に照準機ごしに見えたその機体は友軍の疾風のものであった。
「あぶないっ!」
咄嗟に操縦桿を前にたおして高度をあげた。 
朗瓶一飛曹の機体は、瞬間的に背面のまま高度を上たため、機体速度が急激に落ち
失速寸前になった。

「バリバリバリバリ」別のコルセアから放たれた12.7mm X 6丁の銃弾が朗瓶一飛曹の
零戦を捕らえたのはその時だった。
瞬間に火花は零戦のタンクに誘引し大火災の後爆発した。

時に6月3日。朗瓶一飛曹の19歳と1日の生涯はタラワに散華した。

あれから幾たびかの戦闘で負傷した私は、後方の病院に搬送され、そこで終戦を迎えた。
拾ったような第二の人生を戦友たちの分までとがむしゃらに生きた。
またこうして6月を向かえ初夏の空を見上げると、あのタラワの激戦が昨日の様に思い出される。
「もうすぐ靖国で会えるな」
私は、静かにタラワの方角の空に敬礼をした。

=終わり=

【感想】
数個のCOOPミッションが連なって、ひとつキャンペーンを遊んでいる様でした。
第一シーンのタラワ着任から、どんどん任務が重くなっていく度合いが良く感じられました。
kumaさんとTORAさんは、途中参加でした。最後のミッションでは、飛び出しすぎてコルセアの
ど真ん中にはいっちゃいって墜とされました。
敵機の設定はaverageと聞きましたが、あれだけ数が居ると手ごわいです
(^_^;




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